関東商組の古紙輸出契約見送りを憂う

 2008年10月、我が国古紙業界に未曽有の激震が走った。
近年、古紙市場の著しいグローバル化を背景に、安定且つ定着色を醸しつつ活況を呈して来た古紙輸出であるが、その価格が、突如、耳目を疑うばかりの暴落を演じたのである。
予兆は有った。
ある程度の価格下落も予想されてはいた。
米国発の世界的な金融危機がじわじわと実体経済にも影を落とし始めてきていたからである。が、ただ、これ程までに凄まじい急落は、大方の想定範囲を覆すものであったろう。
中国向け古紙輸出価格が、たった一ヶ月で4分の1以下にまで落ち込んだのである。国内古紙市場に於いては、かって、この様な局面に遭遇したことが無い業界人にとり、この事態は予想出来うる範囲をこえていた。古紙輸出に深く携わっていた業者にほど打撃は大きく、戸惑いの色は広まった。
 この様な状況下、関東製紙原料直納商工組合は、それまで安定して続けてきた輸出契約を、11月分は見送る事を決定した。突然の暴落、国内価格との大きな乖離等の中、ある程度は理解の出来る決定であり、この事は、中部商組や近畿商組にも同様の決定をもたらした。
 やがて、一ヶ月が過ぎ、さしもの輸出価格も、微少ではあるが値を戻し、それなりの落ち着きを取り戻したやに見える状況となって来た。
にも拘わらず、関東商組は、12月分の輸出についても契約を見送る決定をしたというのである。
これは如何なものであろうか。
 一ヶ月を経て、冷静に考えて見ると、国内市場に於いての価格維持を堅持しょうとする状況も、中国市場の価格暴落劇も、双方共にそれぞれが、従来取り続けてきた姿勢を踏襲しているにすぎず、どちらの価格形成姿勢及び背景ともに解りやすいものであり、それらは共に、正常なものと思わざるを得ない。何故なら、国内市場のそれは、我が国製紙メーカーと古紙業界が永年、彼我の立場を、需給変動によるリスク回避を担保するために、永年に亘る経験と思考による学習効果をもとに築きあげて来た戦略的市場原理のスタイルに基づくものであり、一方、中国市場のそれは、需給関係を忠実に反映させる、厳格にしてシンプルな市場原理の原点とも云えるスタイルによるものであると理解できるからである。
 悲しむべきは、中国市場に対して、一部であるにせよ、不信感を募らせている、という声が聞こえる事である。
言うまでもなく中国は、文化大革命という一時的な運動が有りはしたものの、儒教を生み出した偉大な国家であり、我が国にも儒教は伝えられ、儒学として深く浸透して来ている。
仁の思想、義の精神は、両国の人々の心に共存し、脈々といきづいている。
    決して不信感を持ってはならない。
 我が国古紙業界は、国内市場、中国市場とも、それぞれ別々にその環境と事情に即した理解を深め、大切に育んで行くべきであろう。決してこの度の中国向け古紙輸出価格の暴落に狼狽してはならない。そして、久しく輸出価格が国内価格を大幅に上回って推移して来たことも忘れてはならない。況や行政サイドにその解決策を求めるような愚は厳に慎むべきである。
 古紙輸出の原点は、我が国古紙需給の安定化をはかる事こそが、その最大目的ではなかったか。関東商組は古紙事情の客観的分析と冷静な判断のもとに、古紙輸出を再開し、個々の古紙輸出業者にも範を示すべきであろう。
 因みに、2008年12月度、近畿製紙原料直納商工組合は、中国市場原理に基づいた適正価格で輸出契約を成し、古紙輸出事業を再開した。 
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by morinonusi | 2008-12-04 23:13 | Comments(0)  

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