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看過できない橋下徹大阪市長の答弁

 「家庭ごみの紙類 大阪市、分別収集へ」こんな見出しの記事が、平成24年3月3日付け日経新聞に掲載されている。
 大阪市議会の代表質問での答弁で橋下市長が、現在「普通ごみ」に分類している家庭から出る古紙などの紙類を「資源ごみ」として分別収集する考えを示したのだという。その狙いは、ゴミの減量推進で、橋下市長は「着手可能な減量策に着手し、新たな減量目標を設定する」と答弁し、2012年度にも(古紙類の)分別収集を始める、としている。

 地方行政機関による古紙類の分別収集が、ゴミの新たな減量目標の一手段?果たしてそうなのだろうか?

 我が国が高度経済成長を遂げる過程で、浮上してきた資源有効利用の促進や、ごみ減量による環境問題への取り組みとして、地方自治体が関与する古紙類の分別収集は既に1990年代から行われてきた活動のひとつである。そしてこの活動は時を経るにつれ様々な懸案事項を惹起してきているのも事実である。
 その懸案事項とは、分別収集作業を地方自治体が直接あるいは民間業者に委託するを問わず、ごく稀な時期を省いて、殆どの場合それに要する費用に収集した古紙の販売代金の額が見合わず、赤字分の税金補填が、地方自治体にとって、現在、最重要課題とされる財政健全化策に背反している事であり、旧態依然として合理化の進展が見られない収集作業は排気ガス増加等、地球温暖化防止対策という命題を置き去りにしている事、さらに、家庭から出された古紙類を持ち去る行為が勃発して「古紙抜き取り者」という、弱者的立場で健気に活躍する最前線回収業者への忌まわしい汚名を生みだし、それを取り締まろうとする地方条例の独裁的強権の発動までもが現出してしまった事、そして、市場原理導入のもと、大量に集荷した分別済み古紙類を前に置き、大手指名古紙業者に競争させての入札制度実施による、時の相場を無視した異常に高い古紙価格の現出と、それを要因としての古紙業界の疲弊化招来等々である。
異常に高い古紙価格の現出は、紙業界全体を混乱に陥れ、安価な紙製品を安定して一般市民に届ける事を妨げる。
なぜなら、古紙価格を合理的な回収コストの積み上げ方式による適正価格で製紙会社に届ける事で、安価な紙製品を一般市民に届ける事が出来ても、適正価格を逸脱した異常に高い古紙価格は時として製紙会社の原料調達コストを押し上げ、紙製品を高価にして、一般市民を苦しめる結果に繋がるからである。
 
 このような事象が露見されるまでになったこの事業への慎重な検証を試みること無く、「着手可能な」と言うだけの、軽い、場当たり的な発想だけで、安易に、この事業に踏み切られるのは如何なものだろうか。
 
 大阪市は固より我が国においては熟成した古紙リサイクルシステムが構築されており、健全に機能する古紙業界が存在する。その事実は、廃棄物処理法上で、古紙類が廃棄物であっても、「専ら再生利用を目的とする廃棄物」としての特例を設けることにより、古くから存在する古紙業者とその果たす役割の重要性を認知されている点からも容易に伺い知ることが出来る。
 経済産業界の中にあって古紙回収業という比較的、過酷な境遇に置かれながらも懸命にその使命を全うし、社会貢献を果たすべく努力を惜しまない古紙業界に官業が介入して健全に機能している民業を混乱に陥れたり、圧迫したりしてはならない。その事は古紙業界の活力を削ぎイノベーションへの発想を奪い去る。
 
 官業による民業の圧迫は避けるべきである。
 
 もちろん、ゴミの減量化は資源の有効利用や環境問題に直結した重要課題ではある。
 
 橋下大阪市長が新たなゴミ減量目標を設定し、その策への着手を謳うのならば、大阪市民の皆様に「市が収集する一般廃棄物の中には、専ら物としてリサイクルされる古紙類は絶対に混入しないで下さい。古紙類が混入されているゴミは、収集できない場合があります。古紙類の処分は古紙回収業者のリサイクルルートに乗せて下さい」と言った強いメッセージで、市民の皆様に古紙リサイクルへの活動を喚起して下さればいいのではなかろうか。
 そのように首長としての役割を橋下市長が行えば、あとは、古紙回収業界が、民の活力を駆使して、市が始めようとしている分別収集よりも、市民の皆様に負担をかけること無く紙のリサイクルを全うする事ができ、同時にゴミの減量化を果たせる事は間違いない。

 民主主義社会に於いて、為政者は時として選挙民たる市民に阿ることで、己の保身や権力強化を図ろうとする傾向にあるが、そのような行為で社会や産業界の秩序を乱すことがあってはならない。
 
 古紙回収再生利用事業において、大阪市の古紙回収業界に属する古紙回収業者は橋下市長率いる行政組織に後れを取るほど、愚かな衆の集まりでは、決して無い。
 
 
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by morinonusi | 2012-03-03 17:40 | Comments(0)