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初めにリサイクルありき

 昨年のいつ頃からだったろうか、絶えず気に掛って心の片隅にわだかまり、残り続けて来た疑問がありました。武田邦彦さんが著した本が冠している、「リサイクルしてはいけない」(青春出版社)と言う表題の事であります。新聞広告で知ったのか、知人から聞いたのか、記憶は定かで無いのですが、とにもかくにも、環境問題が深刻な今の時代には、考えられない主張でもあり、気にしなくても何れ誰かが、或いは著者ご本人かが、この提言、主張は的を得ていなかった旨のコメントなり、文書なりを公にして下さるものと思っておりまた。しかるに、一部、この主張に対する反論らしきものが見受けられはするものの、むしろ、この本が話題になってきている事へのいらだちと疑問の念であります。
 そこで、とうとうこの本を手に取って読んで見なければならなくなってしまいました。読みながら、そして一部を読み終わって、結論から言ってしまいますと、「やれやれ安心!今までの取り組みに間違いは無かった!、やはりこの表題は全く的を得ていない!今の時代にそぐわない!環境問題に真面目に取り組んでいる善良な人々を惑わし、間違った方向へと導いてしまう内容の提言である。」と確信するに至った次第であります。
  「森の守人」としては、その性格上、この著書の「第2章 大切な“遺産”をどんどん食いつぶす再生紙」、の部分に限り、論じさせて頂く事へのお許しを得て、以下にこの章の各項目ごとに検証を試みさせて頂く事にしましょう。
 この章の最初に著者は、地球上に在る資源の内、石油や石炭、鉄鉱石のように蓄積され固定されたものを「遺産」型、草木や魚のように太陽の恵みを源として生々流転、循環するものを「月給」又は、「売り上げ」型の資源と、解り易く大別した上、せっかく「月給」型の資源があるのに「遺産」型の資源を使用して紙をリサイクルすると言う矛盾、といった言い回しで、紙をリサイクルする行為は、あたかも「毎月の売り上げを取りにもいかずに、隣の銀行で貯金を下ろす方が簡単だ」とばかりに、つまり「月給」型の資源をきちんと使わず、「遺産」型の資源を無駄に使用しているかの様な印象を読者に与えてしまう記述をされていますが、これは実に危うい言い回しであります。何故なら、ここで言う所の「月給」型資源、つまり森は、使わずに貯めれば貯めるほど、極言すれば、地球上を覆い尽くす程に「貯めても」、今や益こそあれ害はない資源であるという事、そして、隣の銀行にある貯金については、「月給」を使わずに節約して貯めたものも、「遺産」を原資とした貯金とは別にある筈なのに、それ等を省略してしまっているのです。紙のリサイクルは、「月給」をより多く貯金にまわす為に行っているのだという事実を、矛盾という言い方で簡単に否定してしまった。言わなければならなかったのは、紙のリサイクルで「月給」型資源、つまり森を、紙を造る為の、手入れをしないと健全な維持が出来ない人工林としてでは無く、自然環境を取り戻す為に100年以上先を見据えた「自然の森」として貯金し、問題は、紙のリサイクルに使う「遺産」型資源の使用量を如何に少なくするかに努力を傾注しなければならない。という事であったのです。
 高度にレベルアップされた紙のリサイクルは、その事により、地球上を覆い尽くすばかりに貯められた、人工林ではない真に価値ある本来の森、「自然の森」という「月給」型資源が吸収するCO2により、リサイクルの過程で発生するCO2の相当量を相殺しながら、遂行する事が出来る様になるでしょう。又、人工林の間伐材や建築廃材は、パルプ原料にまわされる事を免れ、バイオエタノールに再生、石油に代わるエネルギー源としての燃焼により、CO2に戻され、このCO2は、又、木に吸収固定されるという、本来あるべき正規のリサイクルルートに乗せられるようにもなる事でしょう。 CO2の削減は、地球の温暖化を防ぎます。
 紙の製造と環境問題について、著者は、冒頭より、「初めにリサイクルありき」という、環境問題を改善する為には避けて通る事が出来ない原則に対して、「逆転の発想」的アプローチを、慎むべきでありました。
 次回からは、次の項へと進んでさらに詳しく、この本の表題への検証を行って見たいと思っております。

by morinonusi | 2008-05-09 20:50 | Comments(0)  

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