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米をガソリンに変えてしまわないで下さい

 地球温暖化抑制の観点から、バイオエタノールについての研究、開発そして実用化への取り組みが進められています。温室効果を持つCO2削減のためには循環型社会を構築する事が重要であり、バイオエタノールの実用化はそれに大きく貢献出来るからです。
現在、バイオエタノールの原料はセルロース系資源から得られているようです。従って稲わら等の農産廃棄物、都市ごみに含まれる繊維資源、えっ!と驚かされますが、新聞古紙等々が循環可能なエタノールの原料となるようです。そこで思うのですが、車を走らせていて目につく道路の両側や河川敷、堤防等に生い茂る背の高い雑草類や雑木、山間部に入れば森の下草類なども、エタノールの大切な原料となるのではないでしょうか。今のところ、これらは邪魔者扱いにされ、高いコストをかけて行政当局や、土地所有者が刈り取り、切り取って焼却処分にしてしまっているようです。他にもじっくり探せば色々有効な循環型エタノール原料は在るように思われます。
 このように、環境保全を目的とした循環型社会構築に必要な、バイオ燃料を含む、各種製品の原料調達は、リサイクルを基本にしなければうまくいかないと思われます。
 バイオエタノールの使用が重要だからと言って、安易に大豆やトウモロコシなど、従来、食料、飼料とされてきた大切な農作物をその原料にしてしまってはなりません。米国をはじめ世界各国でこの事が行われたため、今、食の分野に大きな異変が起こってきております。身近なところでは各種食品の値上がり、世界を見渡せば、貧しい国々の人達に忍び寄る食糧危機などがそれであり、これらは深刻な問題といえましょう。
 おりしも、平成20年2月21日付日経新聞夕刊の“おコメ変身”という見出しのコーナーに、我が国で、米を原料としてバイオエタノールを造り、それをガソリンにしてしまおうという研究がなされ、実用化が間近に迫っている、という内容の記事が掲載されておりました。
 この記事を目にすると同時に、驚きというかあきれるというか、憤りさえ覚えるような感情がこみ上げて参りました。
 何という事でしょう、米を、日本人にとって主食の大切な米を車を走らせるためのガソリンにしてしまおう、というのです。
 子供のころ、家族で輪になっての食事時よく親から、茶碗に残った、たとえ一粒のご飯粒であっても、農家の方々が年に一度の収穫に丹精込めて作って下さったお米なのだから、粗末にしてはだめだ、と教えられ丁寧に食べた記憶が残る私には、到底納得が出来ない内容の記事でした。
 特集記事の性格から、新聞社サイドとしても、批判的な書き方は出来なかったものと思われますが、これは如何なものでしょう。勿論、我が国農家の苦境や農業の経済的活性化、そして休耕田という、場当たり的な悪政が生んだ“もったいない”存在等の問題は、早急に解決を迫られている喫緊の課題では有りましょう。
 しかし、これらの課題は、食生活の枠内を超えて解決しようとしてはならないと思うのです。
 あの大戦から見事に立ち直り、経済大国として立派に発展を遂げてきた我が国ではありますが、反面、食料の自給率については衰退の道を辿ったといっても過言ではなく、日常私達が口にするほとんどの食材が今や輸入に頼るしかなくなっているのは、周知の事実であります。この事実は、やや飛躍した例になりますが、我が国が他国からの武力攻撃に対し自衛の能力に欠け、米国の守りに頼るしかないという危うさとも通じるところがあるようにも感じられてしまうからです。食料の自給率を確保し、さらに世界の食料事情にも貢献する事に休耕田を活用する等の方向性を持って、農業の活性化を図る事が肝要であります。
 もし、この度のプロジェクト関係者の方々が「いや、目的はどうあれ、先ずは休耕田を活用する事が肝心で食料事情に問題が生ずれば、その時に方針を転換すればよい」と考えているとすれば、それは危険で安易な考え、と言わざるを得ません。なぜなら、先ず、このプロジェクトが実用化されるや、世界一の品質を誇って来た国産米は“悪貨は良貨を駆逐する”が如く低品質となって流通市場を席巻してしまうことになるでしょう。そして、農家の人々から品質向上に対するあくなき努力への情熱を失わせ、優れた品質の美味しいお米は姿を消してしまう事になりましょう。さらに、市場原理に基づく自由主義経済が成熟しつつある現在社会にあっては、このプロジェクト実用化と同時に、コメは必要な食の確保とは無関係な、価格に左右されるだけの流通を開始し、需給に著しい不均衡を惹起する事が、懸念されます。この事は現在すでに大豆やトウモロコシといった穀物流通市場において実際起こっている現象であり、懸念が現実のものとなる可能性を示唆していると言えるからであります。
 コメは、我が国食材のなかで数少ない自給可能な、しかも日本人にとってなくてはならない貴重な主食料品であります。これをガソリンに変えてしまう行為は、日本人の持つ倫理感、日本人としてのアイデンティティーにも逆らうものと思われるのです。
 空気は別にして、水より大切な資源(自然)を私には思い到るものがありません。同じように日本人にとって米より大切な食材を挙げる事は出来ないでしょう。
 米からバイオエタノールを取り出そうと企んでおられる研究者、組織、企業、学会の皆様に猛省を求めたく思います。
 どうか、お米をガソリンに変えてしまうのはやめてください。

# by morinonusi | 2008-02-24 13:17 | Comments(0)  

古紙ドライブスルーユーカリがユーカリ植樹活動を開始

 「古紙リサイクル本線始発駅」を自任してはばからない古紙ドライブスルーユーカリ。
 このユーカリが今度は、ユーカリの植樹活動を開始した。
地球環境問題、地球温暖化防止、大気中のCO2削減、そして循環型社会の構築等、これらへの取り組みに対して古紙リサイクル活動は、間違いなく重要な役割をになって貢献している。古紙は製紙原料として、古紙パルプとなりバージンパルプの替りをはたす。バージンパルプの減少は木材資源の需要をへらす。結果として木を守り森林の減少をくい止める。森林は大気中のCO2を吸収し、温室効果を持つCO2の減少又は増加抑制が地球温暖化を防止、地球環境問題への解決へと繋がるからである。
 それはよく分かっている。分かっているから古紙ドライブスルーユーカリは、さらに努力をかさね、合理化をはかり、改善し、進化を遂げなければならない。しかし、同時にもっと直接的な活動も試みてみたい、と言うより試みなければならない。そう考え続けて来た。
 丁寧に、きれいに分別した上、ユーカリの施設内各銘柄別コーナーにきちんと古紙を置いて下さる皆様方の地球環境保全への願いに十分ではなく十二分な満足感をお持ちいただくためにも・・・そんな思いを持ち続けて来たからである。
 「・・・美しい環境創り・・・皆様方とコラボレーション・・・」このように謳う古紙ドライブスルーユーカリが、ご利用される皆様方のご来店によることで成し得る、そして、ご満足していただける、もう一つのコラボレーションを立ち上げなければ・・・、思案の末、得た計画が「ユーカリの木を植え続けよう!!」だったのである。ユーカリはその特性として、他の樹木に比べ成長が非常にはやく、従ってCO2を吸収する割合も高い。製紙向け広葉樹パルプ原料として多く使用されているのは周知の通りである。 
     
      ご利用いただく皆様方のご来店が、ユーカリの木を増やす!!

 斯くして、平成20年1月28日午後1時、古紙ドライブスルーユーカリ木津川店において、新井賢士社長(古紙ドライブスルーユーカリの運営管理会社、株式会社アライの森代表取締役)が一本めのユーカリの木(アップルボックス)を植え、続いて新井利章常務(同、常務取締役)が二本めを、さらにエクセルヴェルデ代表栗田由美子氏の協力も得て、古紙ドライブスルーユーカリ10店舗開設を記念し、先ず、合計10本のユーカリの木がめでたく無事、植樹された。

 新井社長によると、今後この活動は毎月、本数において、最低でもユーカリ店舗数以上のユーカリの木を植え続ける計画である、と言う。従って平成20年12月末には少なくとも120本以上のユーカリの木が植えられることになる。これがずっと続けられる事を考えると、一種、痛快な気分にさせられる。

 直接的な活動とは言え、大気中のCO2削減効果としてのこの活動は、誠にささやかなものである。しかし同時にささやかではあっても一歩を踏み出し、一歩を標したことには間違い無い。
どんなに遠くても、一歩が欠ければゴールは無い。どんなに「ささやか」、言い換えれば「小さな」波でも、重なり広がりを見せれば大きなうねりとなり、力となる。今、我が国のみならず、世界中の人々が皆、ささやかでも、小さくても、自分に出来る自分なりの地球環境保全活動に踏み出せば、国家や地域に於いての政治的決断による行動より遙かに優れた効果が得られるかも知れない。
 
 「株式会社アライの森」、「古紙ドライブスルーユーカリ」、ネーミングも少しユニークだが、やる事も、ちょっと変わっていて面白い集団である、この集団に皆様方のご理解と応援を、そしてご協力賜わらん事を、お願い申し上げる次第である。
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# by morinonusi | 2008-02-02 18:56 | Comments(0)  

古紙リサイクルーその大いなる可能性

 原油価格が高騰を続けている。2008年も新春早々に、ニューヨーク原油先物取引市場に於いて、所謂「百ドルの男」、リチャード・アレンズ氏がどうやら記録を塗り替えて見たいだけの目的で買っただけであるらしい値からとは言え、一時、1バレル100ドル価格が誕生した事からも、その凄さが窺える。
 この価格高騰がもたらす経済動向や一般市民生活への影響もさることながら、その埋蔵量の有限性や、何にも増してエネルギー源としての使用による大量のCO2排出が原因と思われる地球温暖化現象を防止する観点からも、安全且つ循環持続可能な石油代替資源の開発が人類共通の重要課題として急速に浮上して来ているのは周知の通りである。

 この様な状況下、安全且つ循環型石油代替エネルギー資源として近年、切り札的に脚光を浴びる様になって来たのがバイオエタノールである。 このバイオ燃料を稲わらから製造する方法を、我が国、農林水産省が開発し、実用化に向け動きだしたという(日本経済新聞2008年1月7日付夕刊)。 なるほど記事にもあるようにこの方法だと、環境に配慮出来るうえ、現在バイオ燃料の主原料となっている、とうもろこし等の食糧飼料類が、従来に於ける本来の使用分野に需給アンバランスを生じているといったリスクも回避でき、穀倉地帯を持続可能な「油田」とする事が可能となる。
 
 軽い衝撃をうけた。 「遂に稲わらまで来た!次は古紙や!これは、板紙の原料経緯ともよく似てる!」 そう感じた。
 今を去る2000年6月22日午後2時30分、株式会社アライの森当時社長だった新井清之は、財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)に真継由佳氏を訪ねていた。そこで彼は、少なからず感動に値する事実を知り、おりにつけその時の話しをしてきている事に思い至ったからである。 真継氏の説明とその時受け取った機関誌「RITE NOU」の内容から新井が知ったのは、古紙がエタノールの原料となる[貴重なバイオマス資源]であると断定されている事実であった。
 以下にその概要を記してみる。
 財団法人 地球環境産業技術研究機構が発行している機関誌 「RITE NOU 33~35] 特集 「CO2 リサイクル」及び「環境バイオー新時代の幕開け」の中には、湯川 英明 RITE微生物分子機能研究室 主席研究員(当時)の、「セルロース系資源からの燃料油製造」と「微生物バイオの最前線」と言う表題を冠した二つのREPORTが紹介されている。
 それによると、先ず、澱粉由来からだけでなく、植物の構成成分であるセルロース類を低分子化する事からも、糖類を得る事が出来る。とあり、セルロース類の供給源には、木材の廃材や都市ごみに含まれるセルロース系成分に加え、回収古紙が挙げられる事に着目がなされているのである。 そしてさらに、湯川さん達は、こうして得られた糖類をエネルギー源としCO2を処理固定する新規な微生物反応を発見した。 即ち、何と、CO2を“餌”として取り込んだ微生物が糖質を部分的に分解して取り出したエネルギーを用いてCO2を高分子原料をはじめ、燃料原料となる脂肪酸等に変換してしまう反応である。とされている。
 次に、湯川さんは「太陽エネルギーに基づき光合成で生成されるバイオマスのエネルギー換算値は、人間が使用している総エネルギーよりも一桁多く・・・」と記した上で、1999年8月12日のクリントン米国大統領による「バイオマス資源の利用に関する研究を大規模に実施する」という、この時期としては衝撃的とも言える演説の内容にも触れている。
そして、バイオマス資源としての二つの事例、即ち一つは、米国に於いて都市ごみをバイオプロセス源料とした自動車用燃料エタノールの生産が2001年末までに実現する予定である事。もう一つは、日本に於いてバイオマス資源活用の一つとして「古紙」の利用にRITEが注目している。という事を紹介し、「回収古紙は、バイオマス由来の資源として大変“優等生”なのである。」と断定したうえで、古紙をバイオマス資源とするエタノール生成のプロセスが、詳しく記されている。
 
 7年あまりの歳月を経て、前述の「稲わら・・・」の新聞記事を見、つながった記憶が、次は「古紙・・・」へと閃き、軽い衝撃を受けたわけである。 昨年来、米国では石油代替燃料としてバイオエタノールの生産が大々的に行われ始めたが、その原料資源に、とうもろこし等の穀物が使用されている為、とうもろこしをはじめとする穀物価格が俄かに高騰して来ており、食糧、飼料分野に深刻な影響が出始めている。さらに森林を伐採して、穀物畑に変えると言う環境破壊的な現象さえも起って来ている。 これでは本末転倒の事態と言わざるをえない。 湯川さんは1999年当時すでに前記RITE NOWでのREPORTに於いて「・・・糖分を澱粉由来で得ようとする事は、食糧飼料向けと拮抗し意味はない。・・・」と断言されている。氏の慧眼には、驚くばかりである。
 勿論古紙をバイオ燃料の原料資源として使用した場合、製紙原料向けと拮抗する事にはなる。 しかしながら、バランスの取れた循環可能な木材資源を使用してのパルプ、余剰古紙、都市ごみからの繊維資源、稲わら等の農産廃棄物等々、循環型資源を総動員しての取り組みに真摯な努力を尽くせば、製紙原料とバイオエタノール資源との拮抗は良好なバランスを保って共存出来るものと思われる。 バランスを計る為の「行司役」には、余程の破滅的事態を招来せぬ限り、自由主義経済に基づく市場原理に任せれば良い。 もし仮に需給面等に問題が生じたとしても、それらは単に人間社会での利便性追及分野に於ける問題であり、食糧飼料分野に於いての問題とは異なり、ヒューマニズムに反する問題とはならない。
 
 この様に考えを巡らせて来ると、まさに古紙は大いなる可能性を包容している。
 「古紙の山は宝の山」 2008年も1月半ばを過ぎた日の昼下がり、炬燵に足を伸ばし、読み古した雑誌古紙を枕にうたた寝の遅めの初夢を正夢にと願うひと時である。

# by morinonusi | 2008-01-17 18:13 | Comments(0)  

古紙輸出関税創設への愚行を許してはならない

  「古紙輸出に関税が懸けられるかもしれない」紙業界紙に斉藤斗志二衆議院議員の記者会見の模様と共に掲載された記事を見て、この様な動きのある事を知った。確かに古紙市況の現状は、中国を中心とした東南アジア諸国への旺盛な輸出を背景に活況を呈してはいる。しかしそれは、決して国民生活を脅かしたり、或いは我が国の経済活動をかく乱したりするような、異常な需給逼迫でも、度を過ぎた価格高騰を招いているものでもない。むしろ、古紙が一般家庭等発生元から流通経路を経て製紙会社に納入されるまでの、積み上げ式回収コストが到る合理的な価格帯にやっと辿り着き、健全な古紙回収ルートの維持を果たす事が出来る様になった、と言える状況である。もし、深刻な、とか憂慮すべき、とかいった文言で示す事態を指して言うとすれば、1970年代のオイルショックがもたらした紙不足パニック時のそれでしか無い。                                                      
  繰り返して言うが、古紙市況の現状は、グローバル化が著しい経済環境下における健全な市場原理に基づいた正常な状況の只中にある。ここで、何故「古紙輸出に関税創設」なのか。国内製紙メーカー各社が、中国をはじめとする海外製紙メーカーの購入する原料古紙価格から海上運賃等の輸出費用を差し引いた価格と同等の古紙価格で原料手当てをする事により、経営に破綻を来すとは到底考えられない。正常な状況の只中にあるとはいえ、原料古紙価格の上昇に苦しんでいるとしても、限りなくグローバル化が進み厳しさを増す現代経済情勢の中にあっては、我が国紙パルプ業界も、業界業種全ての各社が手を携え、信頼関係の基に叡智を結集して協力し合い、切磋琢磨して国際競争力を高めつつ解決を計る事が肝要であり、優れた技術革新もそのような環境の中から生み出されて来るものである。決して、安易に官界に頼るべきではない。又、官界も民業への規制的な関与は、控えるべきである。
 かって平成10年以降数年の間、古紙は大変な余剰現象に見舞われ、行き場を失った雑誌古紙が、心無い人の手により田地に不法投棄されるという、まさに異常な事態を現出した時期があった。この時期古紙業界は経営危機打開と、古紙回収システム崩壊防止への努力に辛酸を舐め、製紙メーカーは押し寄せる原料古紙に悲鳴をあげ、心ならずも価格引き下げを繰り返したが事態は解決せず、原料古紙置き場の確保に奔走しても焼け石に水、遂に古紙業界は価格の逆有償化という未経験の事態にまで陥っている。さらに、平成12年には「資源有効利用促進法」が公布され、古紙発生増に一層の拍車がかかり、古紙業界は、慢性的な古紙余剰に悩まされ続けるが、ここで、ついにその活路を輸出に見い出し、赤字輸出の犠牲を余議なくされながらも、国内古紙需給のバランス化を成功させる事となった。現在の古紙輸出に至る過去のこのような経緯から視線をそらすべきではない。
 果たして、斉藤議員が唱えるように、古紙輸出により国内再生利用に必要な古紙の確保が本当に出来なくなるのだろうか。業界紙「古紙ジャーナル」平成19年11月26日号によると、2007年度見込で、日本国内古紙回収量は2,303万トン、古紙消費量は1,895万トンで回収量から消費量を差し引いた需給ギャップは408万トンあり、その内400万トンが古紙の輸出量とされている。勿論品種別検証も必要ではあるが、マクロ的見地からは、深刻な需給のアンバランスはみられず、むしろ需給バランスは理想的とも言えるかたちで、確保されている。
 更に、議員の提案内容の中には「中国等の古紙回収率改善に具体的協力」そして「輸出関税を財源とし・・・中国等の古紙回収率改善の援助」といった事柄が盛り込まれている。これらが、果たして必要であろうか。今やすでに民間レベルでの古紙業者、或いは商社よる著しい中国進出が有るのみならず、彼らの成長に伴う、彼らによる中国国内古紙回収の合理化とその目覚ましい普及活動への役割、そして彼らの先進性を軸にした中国政府による古紙回収業者近代化への後押し等を目の当たりにする時、大切な我が国財源を使ってのこれら提案項目の必要性は喫緊の課題とは思えない。
  これまで、我が国製紙メーカーと古紙業者は紆余曲折を経ながらも、様々な困難を共に克服しつつ貴重な信頼関係を築き上げて来た。今、特定の製紙会社創業家の血筋を引く斎藤斗志ニ衆議院議員が、公然と地元静岡地区の中小製紙会社の要望を受ける形で、この様な内容の法律案を成立させた場合、永年にわたって築き上げてきた製紙メーカーと古紙業者の信頼関係が一挙に崩れ去る事になりはしないか。考えるだに背筋が寒くなる思いにかられる。
  信頼関係が崩れ去った時の状況に、シュミレーションを試みてみよう。
  国内価格より高値の輸出価格を横目に見ながらも信頼関係と製紙メーカーの協力に答えて、原料古紙の納入責任を果たすべく努力して来た古紙業界は、余剰古紙の輸出に創設された輸出関税に苦しみ、平成10年代当時の苦境の陰に怯える。その結果何が起こるか。敢えて稚拙のそしりを受ける覚悟で、仮に、輸出関税を10%、古紙価格を15円/kgとし、数量については、前述の2007年度見込みをもとに計算すると、古紙業界の税負担は60憶円/年間、となる。失望した古紙業界は信頼関係に根ざした国内製紙メーカーへの納入責任の呪縛から解かれ、戦術的手段として大きな負担をも顧みず、古紙輸出に一層のドライブをかける。忽ちに国内需給バランスは崩れ去り、製紙メーカーマシンの稼働さえ危ぶまれる事態となる。足りなくなると、値は上がる。近年における古紙相場の変動値は最小単位が、銭から円に移行している。最小単位の値が上がるとしても1円/kgとなり、国内製紙メーカー全体の減益額は、189億5千万円に達する。この様な結果を招いてしまっては、古紙問題の解決を果たすどころか、かえって混乱を来す事になってしまう。さらに我が国古紙業界人は、グローバル化する経済環境に対応しつつも常に国内業者としての善良なナショナリズムに根ざしたヒューマニズムを忘れぬ経済人として我が国経済に貢献して来ている。この真摯な姿勢を今回の輸出関税創設に対応する行動により彼らから失わせる様な事があってはならない。
  言うまでもなく、国会議員は高邁な政治理念の下、常に国益を第一のテーマとして行動するべきである。自らの支持基盤となる特定の地元や、業界への利益誘導に繋がりかねない狭い視野で行動してはならない。
  我が国最大手の製紙会社、王子製紙がこの程、中国で日本の製紙会社として初めて大規模な紙パルプ一貫工場の建設に着手した事がマスメディアによって報じられた。今回の古紙輸出関税の創設は、このプロジェクトにも何らかの不利益をもたらすのではなかろうか。又この提案は、先月福田康夫首相がアジアでの外交デビューを果たす場となった東アジア首脳会議に於いて合意に至った東南アジア諸国連合全体と日本との自由貿易協定を核とする経済連携の最終合意にも背を向けるものであり、創設、施行によるアジア諸国に於ける我が国への信用失墜への危惧は決して杞憂には終わらないであろう。これらを無視しての創設施行は、国益を犠牲にして一部業界への利益(そうとはならないのに)誘導へと走ってしまうに等しい行為になる。
  今、我が国政府は、規制緩和・改革・自由競争による経済の活性化へと舵をきっている。なぜこの方向に逆らう行動を取ろうとするのだろうか。
  又、先日輸出関税なる物の存在を、ジェトロ大阪本部に問い合わせた所「暫定措置法として立法化すれば一般論として発生する可能性は十分有りうる話ですが現在は全く我が国には存在しません」と言う答えが返ってきた。輸出による貿易立国として繁栄を続けて来た我が国では当然のことである。今その一線を越えて古紙が輸出関税品目の第一号になるのは古紙業界人として耐えられない思いであり、創設者共々後世に禍根を残す事例となるであろう。
  一時の思い付きによるセンセーショナルな行動は一見晴れやかではあるが、思わぬトゲや毒を含んでいる場合が多い。慎重な考察を成すべきである。
 もしも、現在の古紙事情に問題を感じ、それを解決しょうとするのであれば、業種を問わず苦境にある中小企業に対し、設備の特別償却等一層の幅広い税制面や助成制度に於ける援助に加え、環境問題をテーマにした提案はどうであろうか。すなわち、我が国製紙会社の環境面に於ける先進性を評価推進し、これに古紙を納入する古紙業者に対し納入量の割合に応じて、一定の環境配慮協力助成金を支給し、環境優良企業としてのランク付けをする。そうすれば、古紙の流れは少々高値の輸出よりも信用とプライドを得られる国内製紙メーカーへと方向を変え、国内製紙メーカーは安定した価格での古紙確保が出来る様になり、グローバルな競争の場は古紙価格から環境問題への取り組み如何へと変わってくる。環境問題が深刻な折、一石二鳥と言えるではないか。但し、これも一時の思い付きの域を出ないが、少なくとも古紙輸出に関税創設よりはましな提案である。
  斎藤斗志ニ衆議院議員は我々紙パルプ業界全体にとって眩しいばかりの存在の人であった。今後もその様な存在の人であり続けてもらう為にも再考を願う次第である。
  「古紙輸出関税創設」に対しての以上の考え方が、一人でも多くの紙パルプ業界諸兄から、賛同を賜る事を切に願うばかりである。
 

# by morinonusi | 2007-11-27 19:16 | Comments(0)  

嬉しいけれどちょっと残念某新聞報道

 11月7日付某新聞に、古紙ドライブスルーユーカリ木津川店の記事が、写真入りで掲載され施設の内容等が、詳しく紹介された。
 記事は、 無人無料で、収集費用と分別の手間がはぶける面白いシステムと評価いただいたうえ、監視カメラや各種案内表示板の記載内容、採算についての推測、他にも9店舗を展開、などが新井社長の談話入りで書かれている。さらに、古紙を出しに訪れた男性会社員が「休日に部屋を掃除したら大量に古新聞などが出てきた。市のごみ焼却場は休みで困っていたが、この収集所は大助かり。無料だし、ドライブスルー方式で手軽に捨てられる」と喜んで下さっているというインタビューの様子も描かれ、最後は、この回収方法がこれから普及していくかどうか分からないが、「無人で、気兼ねなく利用できる」と、忙しい現代人にはありがたいシステムといえそうだ。で結ばれている。
 中小企業にとって「話題性」を持つという事は、大切な経営要素の一つである。
 したがって、地域ニュースページでの掲載記事とはいえ、マスメディアにこうして大きくしかも肯定的に紹介された事は、古紙ドライブスルーユーカリ全店とそれを運営する株式会社アライの森にとって幸運な出来事であると同時に、本邦初の試みである新しいシステムが、ある程度認められつつある証しであるとも考えられ、喜ばしいかぎりであった。
 ただ、一つ残念に思えたのは、大見出しに「無人無料ごみ収集所」とある「ごみ」という文言である。「ごみ」とは「濁水にとけてまじっている泥。(又は)物の役に立たず、ない方がよいもの」(広辞苑)をさして言う。この定義をひもとくまでもなく、古紙は、はるか平安の時代から再生できる大切な資源とされてきていることからして、ごみとは、明らかに一線を画する物である。毛頭、「ごみ」という認識を持たないできた古紙業者からすれば、不満な思いが残ってしまう。
 しかし、ひるがえって良識の府としての立ち位置にあるべきマスメディアにおける古紙に対する認識が、ごみの範疇にあるのは、一般社会の人々のそれも同様であろうと気づくのが、古紙業界人にとって大切なことであるといえるのではなかろうか。
 今、人類にとっての地球環境が危機に瀕している、と叫ばれている。
 そして、人類にとっての良い地球環境を取り戻す方策の大切な一つとして、循環型社会の構築が世界共通の課題として提唱されている。
 ごみをなくし、資源を地球に求めず、人間社会の枠内に求める。このように考えを進めて行く時、私達は、古紙を決してごみと認識してしまってはならない。古紙業界人は、このような考え方、認識の仕方についての社会に対する啓蒙活動も忘れず積極的に鋭意努力を致すべきである。
 株式会社アライの森一同、特に古紙ドライブスルーユーカリ運営スタッフ一同は、このようなところに思いをめぐらし、輝く眼差しで某新聞の記事をよみかえしながら、明日からの仕事へのチャレンジに胸をふくらませている。
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# by morinonusi | 2007-11-09 18:49 | Comments(0)